さて、採用アセスメントや面接の工夫によって、採用のミスマッチが減ったとします。 しかし、人事業務はそこで終わりではありません。むしろ、そこからが本番です。
採用した人材が、入社後に活き活きとパフォーマンスを発揮し、定着してくれるかどうか。
それは、会社(組織)側に「人を受け入れ、育てる土壌」があるかにかかっています。
岡山・広島の多くの現場で、「新入社員や若手が、なかなか主体的に動いてくれない」「受け身の姿勢が強く、自ら考えて行動するのが苦手そうだ」 と感じるケースは、多くの企業で聞かれるお悩みの一つです。
この「主体性」や「自走する力」を育む鍵こそ、前回までに触れた「EQ(こころの知能指数)」なのです。
第1回で、EQを「感情情報を処理・活用する能力」とご紹介しました。 私たちが研修や組織開発で活用する「EQI」の基盤理論では、その能力をさらに具体的に、「3つのこころ」「8つの能力」、そして「24の素質」に分解して定義しています。(※)
1.「自分」のこころ:自分自身を理解し、管理する能力
2.「ひと」のこころ:他者を理解し、影響を与える能力
3.「できごと」のこころ:周囲の状況を理解し、賢明に対応する能力
(※ 参考:大学生協事業連合「EQ(SEQ)の構成要素」) https://seq.univcoop.or.jp/seq/about_1definition.html
このEQのフレームワークで考えると、「主体的に動きにくい」状態は、
というEQの課題として捉えることができます。 決して「本人のやる気がない」と一言で片付けられる問題ではないのです。
ここで最も重要なことは、EQは「生まれつきの性格(Personality)」とは異なり、後天的に「鍛えられるスキル」である、ということです。手厚いOJT(現場指導)や1on1(面談)こそが、EQを鍛える絶好の機会です。
NGな指導 ❌
「もっと自分で考えて動いてよ!」(抽象的で、相手を萎縮させてしまいます)
OKな指導(EQを高める) ✅
「(困っている様子を見て)今、この仕事で一番不安なこと(=感情)は何?」
「(不安が聞けたら)その不安をなくすために、まず何を試してみる?」
「Aさん自身は、この仕事、どうすればもっと良くなると思う?」
上司が「答え」を与えるのではなく、質問によって本人に「自分の感情や課題(=自己の認知)」に気づかせ、次の行動を「自分で」決めさせること。 この「小さな失敗を許容し、一緒に考える」という上司の姿勢(=心理的安全性)が、若手社員のEQ(自己の認知・動機付け)を育て、「主体性」を引き出す土壌となります。
社員の主体性や積極性は、「性格」や「世代」のせいではなく、育成可能な「スキル」の問題かもしれません。 「社員の特性を可視化し、育成や組織開発に活かしたい」 そうお考えの人事担当者様へ。
シーズが提供する組織人事施策(教育・研修)のための「EQI」は、社員一人ひとりの「自己の認知」や「自己の動機付け」といったEQ(感情特性)を可視化し、具体的な育成プラン作成をサポートします。 「なぜ、この若手は主体性を発揮しにくいのか」がデータで分かれば、指導(1on1)の質も向上します。
私たちシーズは、アセスメント(適性検査)のご提供だけでなく、岡山・広島の地で「オカジョブ」「ヒロジョブ」を運営し、新卒採用から中途採用、IT化支援まで、企業の人事課題をワンストップでサポートしています。
「まずは何から手をつければいいか分からない」「採用全般について相談したい」 そんな人事担当者様は、まずはお気軽にこちらのフォームからお問い合わせください。
(次回の予告) 第4回は、「個」の育成から視点を広げ、「組織風土(ハラスメント・心理的安全性)」とEQの関係について深掘りします。