【第3回】EQとは? 社員の主体性を育む「鍛えられるスキル」 |岡山、広島、福山の人材支援、IT化支援の株式会社シーズ

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【第3回】EQとは? 社員の主体性を育む「鍛えられるスキル」

(第2回から続く)

さて、採用アセスメントや面接の工夫によって、採用のミスマッチが減ったとします。 しかし、人事業務はそこで終わりではありません。むしろ、そこからが本番です。
採用した人材が、入社後に活き活きとパフォーマンスを発揮し、定着してくれるかどうか。

それは、会社(組織)側に「人を受け入れ、育てる土壌」があるかにかかっています。

岡山・広島の多くの現場で、「新入社員や若手が、なかなか主体的に動いてくれない」「受け身の姿勢が強く、自ら考えて行動するのが苦手そうだ」 と感じるケースは、多くの企業で聞かれるお悩みの一つです。

この「主体性」や「自走する力」を育む鍵こそ、前回までに触れた「EQ(こころの知能指数)」なのです。

【この記事のポイント(目次)】

  1. EQの構造:「3つのこころ」と「8つの能力」
  2. なぜ「主体性」が育ちにくいのか?
  3. 最大のポイント:EQは「鍛えられるスキル」である

EQの構造:「3つのこころ」と「8つの能力」

第1回で、EQを「感情情報を処理・活用する能力」とご紹介しました。 私たちが研修や組織開発で活用する「EQI」の基盤理論では、その能力をさらに具体的に、「3つのこころ」「8つの能力」、そして「24の素質」に分解して定義しています。(※)

1.「自分」のこころ:自分自身を理解し、管理する能力

  • 自己の認知(自分が何を感じ、どう考えやすいかを知る)
  • 自己の統制(感情をコントロールし、適切に表現する)
  • 例:ストレスを感じた時にパニックにならず、冷静さを保つ力。

2.「ひと」のこころ:他者を理解し、影響を与える能力

  • 他者の認知(相手の感情や考えを察知する
  • 他者の統制(相手に働きかけ、望ましい行動を促す)
  • 例:お客様の言葉にならない不満を察知し、先回りして対応する力。

3.「できごと」のこころ:周囲の状況を理解し、賢明に対応する能力

  • ⑤ 対人関係(良好な関係を築き、維持する)
  • ⑥ 状況の認知(その場の空気や問題を察知する)
  • ⑦ 状況の対応(問題解決や状況変化に柔軟に対応する)
  • ⑧ 自己の動機付け(困難でも、やる気を維持しやり遂げる)
  • 例:予期せぬトラブルにも、諦めず柔軟な解決策を探す力。

(※ 参考:大学生協事業連合「EQ(SEQ)の構成要素」) https://seq.univcoop.or.jp/seq/about_1definition.html

なぜ「主体性」が育ちにくいのか?

このEQのフレームワークで考えると、「主体的に動きにくい」状態は、

  • 「① 自己の認知」が低く、自分が今「何が分かっていないか」を客観的に把握できていない。
  • 「⑧ 自己の動機付け」が低く、「失敗したくない(怒られたくない)」という外発的な動機が強いため、リスクのある行動(=主体的な行動)が取れない。

というEQの課題として捉えることができます。 決して「本人のやる気がない」と一言で片付けられる問題ではないのです。

最大のポイント:EQは「鍛えられるスキル」である

ここで最も重要なことは、EQは「生まれつきの性格(Personality)」とは異なり、後天的に「鍛えられるスキル」である、ということです。手厚いOJT(現場指導)や1on1(面談)こそが、EQを鍛える絶好の機会です。

NGな指導 ❌

 「もっと自分で考えて動いてよ!」(抽象的で、相手を萎縮させてしまいます)

OKな指導(EQを高める) ✅

 「(困っている様子を見て)今、この仕事で一番不安なこと(=感情)は何?」

 「(不安が聞けたら)その不安をなくすために、まず何を試してみる?

 「Aさん自身は、この仕事、どうすればもっと良くなると思う?」

上司が「答え」を与えるのではなく、質問によって本人に「自分の感情や課題(=自己の認知)」に気づかせ、次の行動を「自分で」決めさせること。 この「小さな失敗を許容し、一緒に考える」という上司の姿勢(=心理的安全性)が、若手社員のEQ(自己の認知・動機付け)を育て、「主体性」を引き出す土壌となります。


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(次回の予告) 第4回は、「個」の育成から視点を広げ、「組織風土(ハラスメント・心理的安全性)」とEQの関係について深掘りします。