前回の記事では、「主体性」という「個」の育成課題とEQの関係についてお話ししました。 今回はより大きな問題である「組織風土」に焦点を当てます。
もし、自社の職場でこうした空気が蔓延しているなら、それは「心理的安全性」が低い状態であり、この人材採用が難しい時代に、社員の貴重な「アイデア」や「定着率」を失っている可能性があります。

2022年からパワハラ防止法が中小企業にも義務化されましたが、「ルールで縛る」だけでは、根本解決にはなりません。
ハラスメントの背景の一つとして、指導する側の「感情のコントロール」の問題が挙げられます。 これはEQの「②自己の統制(アンガーマネジメント)」の課題です。
EQが高い人は、「怒り」を感じないわけではありません。 「あ、自分は今、イライラしているな」と 客観的に認識(自己の認知)し、その感情を「相手を攻撃する」という形で爆発させる前に、一呼吸置けます。 この「自己の統制」こそが、ハラスメントを未然に防ぐ重要なスキルなのです。

「心理的安全性」とは、「このチーム内では、自分の意見や素直な感情を安心して発言できる」と信じられる状態を指します。 これは単なる「仲良しクラブ」ではなく、「(関係性が壊れることを恐れず)仕事のためなら、率直な意見も言い合える」という健全な信頼関係です。
この信頼関係は、気合やルールで作れるものではありません。 土台となるのは、チームメンバー全員の「EQ」です。
「Aさんの意見は自分と違う。でも、なぜAさんはそう考えたんだろう?」と、まず相手の立場を理解しようとする力。
自分の意見と違う意見が出た時も、感情的にならず、相手の話を最後まで聞ける力。
意見がぶつかっても、相手を打ち負かすのではなく、「着地点」を見つけようと建設的に対話できる力。
これらEQの素養が欠けた組織では、心理的安全性は高まりにくいのです。

「ハラスメント」「心理的安全性の欠如」。 これらの組織課題の根源は、社員一人ひとりの「EQ」と深く関わっています。
大切なのは、まず自社の「現在地」をデータで知ること。 「うちの管理職は、他者理解が足りない気がする」 こうした「勘」や「印象」だけで研修を打つのではなく、「EQI」で組織診断を行い、「どの部署の、どのEQ素養が、組織のボトルネックになっているのか」を客観的に「可視化」することから、すべてが始まります。
「ハラスメント」「心理的安全性」。これらの課題は、個人の「性格」ではなく、組織として「育成できるスキル(EQ)」の問題です。
適性検査「EQI」は、個人の特性を測るだけでなく、部署やチーム全体の「EQ(感情特性)」の傾向を分析し、組織開発に活かすことにも適しています。 「なぜ、あのチームは生産性が低いのか?」その答えが、メンバーのEQバランスに隠されているかもしれません。
私たちシーズは、アセスメント(適性検査)のご提供だけでなく、岡山・広島の地で「オカジョブ」「ヒロジョブ」を運営し、新卒採用から中途採用、IT化支援まで、企業の人事課題をワンストップでサポートしています。
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(次回の予告) 最終回となる第5回は、「採用」と「育成・組織」を繋ぐ「人的資本経営」という未来の視点について解説します。